Story Atelier / Episode 01

レシート裏の郵便屋

雨の商店街。牛乳だけ買うつもりだったソウマは、レシートの裏に一文を書いてしまう。風に飛ばされたその紙が、古いアトリエの扉の下へ滑り込んだ。

入口へ戻る 36カット / Space・次へボタン対応 / 縦スクロール漫画風
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夜の青葉商店街。雨。シャッターの閉まった店。濡れた歩道にコンビニの光が伸びている。 画面下に小さく、ビニール傘を持たない人影が見える。

SE

ザー……

ソウマ 舞台の提示。青葉商店街の生活感と少し寂しい空気を出す。
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コンビニの自動ドアが開く。ソウマが出てくる。片手にビニール袋、もう片手に長いレシート。 袋の中には、牛乳、プリン、カップ麺、ボールペン、小さいメモ帳、電池。

ソウマ

……牛乳だけ買うつもりだったんだけどな

ソウマ ソウマのコメディ導入。
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ソウマがコンビニ軒下で雨を見上げる。スマホ画面には「あと8分で小雨」。

ソウマ

この“あと8分”、もう三回見てる

ソウマ

天気アプリって、たまに励ましだけ言うよな

ソウマ ソウマが「待つしかない時間」に入る。ここで一文を書く余白ができる。
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ソウマが買ったばかりのボールペンを開け、レシートの裏に何かを書く。手元アップ。

雨の日だけ、手紙を届ける郵便屋がいた。

ソウマ

……

ソウマ 裏本編の核となる一文を提示。
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ソウマがレシートを見て固まる。少し顔が赤い。周囲の通行人はいない。

ソウマ

……いや

ソウマ

何やってんだ、コンビニ前で

ソウマ 一文が本人にとって大事だが、認めたくないことを示す。
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強い風。レシートがソウマの手から抜けて、雨の歩道を滑る。

SE

ヒュッ

ソウマ

あっ

ソウマ

待て待て待て、恥ずかしいやつ!

ソウマ 偶然の出会いを作る。
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レシートが雨水の細い流れに乗って、商店街の奥へ滑っていく。ソウマが追いかける。

ソウマ

紙のくせに、逃げ足はやっ

ソウマ アトリエへ導く。
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古い建物の扉。看板が出ている。 レシートが扉の下の隙間に滑り込む。

コトハたちのストーリーアトリエ

旧・青葉印刷文具店

ソウマ

……ストーリー、アトリエ?

ソウマ 舞台「ストーリーアトリエ」初登場。
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アトリエ内部。床に滑り込んだレシート。紙束、古い棚、インク瓶、奥の印刷機が見える。 コトハの手がレシートを拾う。

コトハ

……あ

コトハ コトハと一文の出会い。
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コトハの横顔。レシートの裏を見る。表情がほんの少し変わる。

雨の日だけ、手紙を届ける郵便屋がいた。

コトハ

……

コトハ

雨の日だけ

コトハ コトハの「言葉を拾う人」としての性質を見せる。
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扉が少しだけ開く。外からソウマが覗く。雨に濡れている。

ソウマ

あの、すみません

ソウマ

今、すごく個人的に恥ずかしい紙が、そちらに入っていったと思うんですけど

コトハ

個人的に恥ずかしい紙

ソウマ、コトハ ソウマとコトハの初会話。
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コトハが申し訳なさそうにレシートを持つ。ソウマは察する。

コトハ

……すみません。一文だけ

ソウマ

読んだんですね

コトハ

一文だけ

ソウマ

一番だめなやつ

ソウマ、コトハ 関係性の入口。コトハの柔らかさ、ソウマの照れ隠し。
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コトハが扉を開ける。内側のアトリエの光。外の雨との対比。

コトハ

濡れていますし、中へどうぞ

ソウマ

いや、紙だけ返してもらえれば

コトハ

紙も濡れています

ソウマ

俺より優先順位高いですね

コトハ

紙は、乾かせば残りますから

ソウマ、コトハ ソウマをアトリエ内部へ入れる。
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ソウマがタオルを肩にかけて、作業机に座っている。机の上ではレシートがクリップで留められ、ライトの下で乾かされている。

ソウマ

本当に、紙だけでよかったんです

コトハ

はい。だから紙も乾かしています

ソウマ

展示しないでください

ソウマ、コトハ アトリエ内部の雰囲気を見せる。
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奥の机からミラが顔を出す。ノートPCを持っている。カジュアルに明るい。

ミラ

コトハさん、プリン買ってきた人ですか?

ソウマ

初対面で購入履歴を読まないでください

ミラ

レシートなので

ソウマ

レシートですけど

ミラ、ソウマ、コトハ ミラ初登場。日常コメディのテンポを作る。
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ミラがレシート裏を見る。ソウマが「あ」と手を伸ばすが間に合わない。

ミラ

へえ

ソウマ

あ、また読まれた

ミラ

短くて覚えやすいですね

ソウマ

最悪の褒め方

コトハ

でも、本当にいい一文です

ミラ、ソウマ、コトハ 一文が他人に評価される最初の瞬間。
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棚の影から声。アキトが紙箱を持って出てくる。姿勢がよく、少し無愛想。

アキト

一文は悪くない

ソウマ

誰!?

アキト

ただ、まだ物語ではない

ソウマ

初対面の角度が鋭い

ミラ

アキトさんです。構成を見る人です

ソウマ

構成を見る人が暗い棚から出てくることあります?

アキト

紙箱を探していただけだ

アキト、ソウマ、コトハ、ミラ 4人が同じ画面に揃う。
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4人が作業机を囲む。真ん中にレシート。机のライトが紙を照らしている。

ソウマ

返してください

コトハ

返します

アキト

返したら、捨てるだろう

ソウマ

捨てないです。たぶん

ミラ

“たぶん”は、ほぼ捨てますね

ソウマ

なんで今日会った人たちにこんなに見抜かれるんですか

4人 4人の関係性の基本テンポを提示。
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コトハがレシートを見ながら、やさしく聞く。ソウマは少し目をそらす。

コトハ

この一文、前から考えていたんですか?

ソウマ

……まあ

ソウマ

子どものころから、なんとなく

コトハ、ソウマ、ミラ、アキト 「ただの思いつきではない」と示す。
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ソウマが笑って逃げる。手元では、タオルの端をいじっている。

ソウマ

でも、そこだけです

ソウマ

続きはないです

アキト

続きがないんじゃない

ソウマ

アキト

まだ決めていないだけだ

ソウマ

言い方

ソウマ、コトハ、アキト アキトの構成役としての初指摘。
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ミラがノートPCを開く。画面の光が顔に当たる。

ミラ

試しにAIに投げます?

ソウマ

あ、そういう感じなんですか

ミラ

今のは半分冗談です

ソウマ

半分

ミラ、ソウマ、コトハ 学習サイト側の役割を、物語の会話に溶かす。
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ミラがレシートを見て、少し真面目な顔になる。

ミラ

でも、この一文は、すぐ整えない方がいい気がします

コトハ

どうして?

ミラ

きれいにすると、薄くなりそう

ミラ、コトハ、ソウマ、アキト ミラが単なるAI便利キャラではないことを提示。
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アキトがレシートの横にメモ紙を置く。短く書く。

誰に?

何を?

なぜ雨の日?

アキト

必要なのは、まず郵便屋の目的だ

ソウマ

目的

アキト

誰に、何を届けたいのか。なぜ雨の日だけなのか。届けたら何が変わるのか

ソウマ

急に宿題が三つ

ミラ

お得ですね

ソウマ

お得ではないです

アキト、ソウマ、ミラ 今後の物語の問いを提示。
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コトハがレシートをそっと指で押さえる。ソウマを急かさない。

コトハ

でも、今日はそこまで決めなくてもいいと思います

アキト

甘い

コトハ

雨の日に拾った一文ですから

コトハ

今日は、濡れない場所に置くだけでも

ソウマ

濡れない場所

コトハ

はい。捨てない場所です

コトハ、ソウマ、アキト ソウマが一文を預ける理由の布石。
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天井から水滴。机の近くに落ちる。

SE

ぽた

ミラ

濡れない場所、なくなりましたね

ソウマ

言った瞬間に

コトハ

あっ、紙箱!

4人 場面を動かす。アトリエが完璧な場所ではないと見せる。
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全員が急に動く。コトハが紙箱を抱え、ミラがPCを閉じ、アキトがバケツを置く。ソウマは牛乳を持ったまま固まる。

アキト

手が空いているなら、その箱を

ソウマ

あ、はい!

ソウマ

物語って重いんですね!

アキト

紙が重いんだ

4人 4人が一緒に動く最初の場面。
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紙箱から古いチラシが落ちる。ソウマが拾う。 チラシには、かすれた文字。

青葉印刷文具店

小さな物語を、小さな本に。

第1回 アトリエ小冊子 計画

ソウマ

小さな本?

コトハ

……昔の、企画です

ソウマ、コトハ、アキト、ミラ アトリエの過去と小冊子計画の種を出す。
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ミラがチラシを覗き込み、さらっと言う。コトハは驚く。

ミラ

やればいいじゃないですか

コトハ

え?

ミラ

アトリエ小冊子。今ならサイトもありますし、PDFにもできますし、紙でも少部数なら

アキト

簡単に言うな

ミラ

簡単ではないです。でも、無理でもないです

ミラ、コトハ、アキト、ソウマ 外側のゴール「小冊子」を提案する。
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ミラがレシートを見る。ソウマの顔が引きつる。

ミラ

第1号

ソウマ

待ってください

ソウマ

レシートですよ?

ミラ

初稿としては軽くていいです

ソウマ

軽すぎる

アキト

一文しかないものを載せる小冊子はない

ソウマ

そうですよね!

アキト

だから、増やす

ソウマ

味方じゃなかった

ミラ、ソウマ、アキト、コトハ ソウマが巻き込まれる。
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雨音が強くなる。机の上の小さなライト。レシートが乾きかけている。

コトハ

ソウマさん

ソウマ

はい

コトハ

この一文、ここに置いていきませんか

ソウマ

置いていく

コトハ

捨てない場所として

コトハ、ソウマ、ミラ、アキト 第1話の選択を提示。
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ソウマがレシートを見る。顔は笑おうとしているが、目は少し不安。

ソウマ

でも、俺、書けるか分からないです

アキト

分からないなら、分かるところまでやればいい

ソウマ

その言い方、怖いんですよ

ミラ

じゃあ、優しい言い方に変換します

ミラ

まず千字でいいです

ソウマ

変換しても怖い

コトハ

一文の次に、もう一文だけでも

ソウマ、コトハ、アキト、ミラ ソウマが「書けない怖さ」を初めて言葉にする。
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コトハが古いカードを出し、レシートをクリップで留める。カードに手書きする。

雨の日の郵便屋 仮

ソウマ

仮って書かれると、急に企画っぽい

ミラ

企画です

ソウマ

俺の同意

アキト

今、しただろう

ソウマ

してないです

コトハ

していないなら、今からでも持って帰れます

コトハ、ソウマ、ミラ、アキト ソウマの主体性を作る。
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ソウマがレシートを持って帰ろうと手を伸ばす。指先が紙に触れる。でも止まる。 背景は静か。雨音だけ。

ソウマ

……ここに置いていったら

コトハ

はい

ソウマ

続き、考えないとだめですか

コトハ

考えたくなったときに、来ればいいです

ソウマ、コトハ ソウマの小さな選択。
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ソウマがレシートから手を離す。コトハがカードを受け取る。ミラとアキトは少しだけ見ている。

ソウマ

じゃあ、置いていきます

コトハ

はい。預かります

アキト

次に来るなら、郵便屋が何を届けるのか考えておけ

ソウマ

次に来る前提

ミラ

予定表、共有します?

ソウマ

怖い

4人 4人の関係が始まる。
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ソウマがアトリエを出る。雨は少し弱い。商店街の光が濡れた道に伸びている。 ソウマが立ち止まり、買ったばかりの小さいメモ帳を開く。1ページ目は真っ白。

でも、その郵便屋は、自分宛ての手紙だけ届けられなかった。

ソウマ

……雨の日だけ

ソウマ

手紙を届ける郵便屋がいた

ソウマ 第1話の小さな変化。ソウマはまだ逃げているが、書いてしまう。
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アトリエ内部。コトハがカードをコルクボードに貼る。ボードにはまだ他のカードがほとんどない。 カードには、レシートと文字。 窓の外には雨。奥でミラがPCを閉じ、アキトがバケツの位置を直している。

雨の日の郵便屋 仮

雨の日だけ、手紙を届ける郵便屋がいた。

ミラ

第1号、始まりましたね

アキト

始まっただけだ

コトハ

それで十分です

コトハ、ミラ、アキト 第1話の締め。アトリエが「捨てない場所」になる。