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設定倒れしない舞台とルールの整え方
世界観の作り方
この記事の結論
世界観の作り方は、国名や歴史年表を広げる前に『主人公の半径3メートル』から始めます。見えるもの、使えるルール、その代償を決めると、設定が主人公の選択に結びつきます。
この記事でわかること
- 世界観を主人公の行動範囲から作れる
- ルールと代償をセットにして、物語の選択へつなげられる
- 設定倒れを防ぐ世界観基本表を作れる
このページの担当範囲: 世界観をゼロから作る人が、舞台・ルール・代償の最小セットを決める入口です。決める設定の優先順位は物語の設定の作り方、一つのルールを深めるなら物語のルール設定、増えすぎた設定の整理は設定倒れを防ぐ方法、完成後の点検は世界観の矛盾チェックへ進んでください。
ソウマ
世界観を作ろうとして、国名と魔法制度と通貨まで決めたんだけど、肝心の一場面がまだ書けてない。
コトハ
まずは世界全体ではなく、主人公が今日立つ場所から始めてみましょう。
アキト
先に世界を広げすぎだ。主人公が今日触る場所と、その場所のルールから作れ。
Worldbuilding
世界観の作り方は、主人公の半径3メートルから始める
世界観の作り方を調べると、地理、歴史、宗教、経済、政治、魔法体系まで網羅したテンプレートが出てきます。けれど初心者がそこから始めると、本文が始まる前に疲れます。
最初に作るのは、世界全体ではなく主人公の半径3メートルです。主人公が今いる場所で、何が見えるか。どんな音がするか。何に触れるか。その場所では何ができて、それには何の代償があるか。ここから始めると、設定が物語に戻りやすくなります。
世界観レビューの問いは一つです。
この世界では何ができ、それには何の代償があるか?
できることだけを増やすと設定資料になります。代償まで決めると、主人公の選択が生まれます。
世界観作りの最小原則は、主人公が触る場所に「できること」と「失うもの」をセットで置くことです。
世界全体を広げる前に、基本の発想は ストーリーの作り方 や 主人公の作り方 とつながっています。誰の選択を試す世界なのかを先に見ておきましょう。
世界を広げすぎると本文に戻れなくなる理由
世界観作りでつまずくのは、世界全体を先に決めようとするからです。地図、歴史、種族、制度を作るのは楽しいですが、主人公の選択に関わらない設定が増えると、本文に出す場所がなくなります。
実例として「記憶を売る店」を作るなら、まず必要なのは国の歴史ではありません。「記憶はいくらで売れるのか」「売ると何を失うのか」「主人公はその代償を払えるのか」です。半径3メートルのルールが、主人公の選択を試します。
設定が増えすぎたら、アイデアと物語の違い に戻り、主人公と変化に関係する設定だけ残しましょう。
設定倒れしている例と、使える世界観の違い
設定倒れ:この国には五つの王家があり、通貨制度と魔法学校の歴史がある。
使える世界観:この街では記憶を売れる。ただし、記憶を売ると、その人に関わる顔を少し思い出せなくなる。
初心者は、世界の広さより、主人公の選択に関わるルールを優先します。
Rules of Place
半径3メートルに、ルールと代償を置く
次の手順で、最小限の世界観を立ち上げます。
- 主人公の今日の一場面を選ぶ:物語の冒頭にあたる場面。
- その場面で見える・聞こえる・触れるものだけを書く:道具・建物・音・匂いを3つずつ。
- それらが『なぜこの世界に存在するか』を一行ずつ書く:機能や理由を最小限。
- そのルールを使う代償を書く:時間を失う、記憶が欠ける、誰かに知られるなど。
- 主人公が次に行く場所まで、世界を広げる:それ以上は今日は作らない。
この手順のポイントは、設定を必ず「代償」までつなげることです。魔法が使えるなら何を失うのか。記憶を売れるなら何を忘れるのか。空を飛べるなら誰に見つかるのか。代償があると、主人公は選ばされます。
ソウマ
代償があると、設定が急に怖くなるな。
アキト
怖くなるなら使える設定だ。主人公に選ばせる理由ができる。
ジャンル別の始め方
- ジャンル:現代もの。半径3メートルの入口:雨で止まった駅のホーム。ルールと代償:最終電車を逃すと、隠していた一文を親友に見られる
- ジャンル:ファンタジー。半径3メートルの入口:記憶を量る店のカウンター。ルールと代償:記憶を売ると、関係する人の顔が少し薄れる
- ジャンル:少し不思議な日常。半径3メートルの入口:忘れ物棚に戻ってくるノート。ルールと代償:読むと誰かの後悔を一つ引き受ける
どのジャンルでも、先に世界全体を作るのではなく、主人公が最初に触る場所から始めます。
Mini Example
「記憶を売る店」の世界観を半径3メートルで作る
例として、「記憶を売る店」の世界観を作ります。いきなり国の歴史や業界の仕組みは決めません。まず、主人公が店に入った瞬間に触れる範囲だけを見ます。
- 見えるもの:黒い瓶、木のレジ、小さな鈴
- 聞こえるもの:紙のこすれる音、店の外の雨、瓶の中で沈む声
- 匂い:古い紙、湿った木、冷めた紅茶
- 触れるもの:記憶を入れる瓶、対価を書き込む伝票、店主が差し出す手袋
次に、それぞれの存在理由と代償を決めます。
- 黒い瓶:記憶を保存する。代償として、売った記憶に関わる人の顔を思い出しにくくなる。
- 小さな鈴:記憶が抜けた瞬間に鳴る。代償として、その音を聞いた人も少しだけ忘れる。
- 木のレジ:対価として支払う時間を計る。代償として、売った金額に応じて未来の時間が減る。
これだけで、世界観は主人公に選択を迫り始めます。「忘れたい記憶を売るか」「誰かの顔を忘れてもいいのか」「未来の時間を削ってまで楽になりたいのか」。舞台設定が、物語の問いへ変わります。
世界観を広げる順番
- 主人公が最初に立つ場所
- その場所で使えるルール
- ルールを使う代償
- 代償で主人公が迷うこと
- 次の場面で必要になる場所
この順番なら、世界観が本文から離れにくくなります。地図や歴史は、主人公が次の場面で必要になったときに広げれば十分です。
設定倒れを防ぐ確かめる観点
- 主人公が最初に触る場所から作っている
- できることと代償がセットになっている
- その代償で主人公が迷う
- 次の場面で使わない設定を保留できている
世界観が広がりすぎたら、この四つに関係しない設定をいったん資料へ移します。
AI Partner
AIには、世界全体ではなく場所の解像度を上げてもらう
全体を決めてから物語に入ろうとすると、世界の整合性に縛られて書けなくなります。物語が進むたびに世界を広げる方式のほうが、矛盾の発見も早く、修正も軽くなります。
AIには「世界観を考えて」ではなく、「主人公がいる場所で見える・聞こえる・触れるものを3つずつ提案し、それぞれに代償を1つ付けて」と頼みます。世界全体ではなく、半径3メートルの解像度で答えてもらう使い方です。
もったいない相談例
壮大なファンタジー世界観を作ってください。
よい相談例
主人公の輪郭:つらい記憶を売りたい高校生
物語の冒頭の場所:記憶を売る店
この場所で『見える・聞こえる・触れる』ものを、3つずつ提案してください。
それぞれに、この世界ならではのルールと代償を1つずつ添えてください。
※世界全体の設定は不要です。半径3メートルだけで結構です。
ジャンル別に深めたい場合は、ファンタジー世界観の作り方 や 現代ものの舞台設定の作り方 に進めます。設定が増えすぎたときは 設定倒れとは?防ぐ方法 が次の整理に向いています。
Practice
世界観基本表に、次の一手を書き込む
主人公が最初に立つ場所、その場で働くルール、支払う代償を一つずつ書きます。国の歴史や地図へ広げず、この三つが主人公の選択をどう難しくするかまでつなげましょう。
実践ワーク
世界観基本表を1枚にまとめる
舞台・ルール・代償を一つずつ選び、設定の説明ではなく主人公の選択に使える形へ絞ります。
チェックリスト
- 主人公と冒頭の場所を決めた
- 見える・聞こえる・触れるものを書いた
- この世界のルールを書いた
- ルールを使う代償を書いた
- その代償で主人公が迷うことを書いた
今日できたもの
- この記事で作ったもの
- 世界観基本表
- 次に育てる場所
- 舞台とルールを、設定倒れしない範囲へ絞る欄
- 次の行動
- 世界観設定を1つ選び、主人公の選択にどう効くかを書く
ソウマ
通貨の名前より、主人公が店の扉を開けた瞬間に何を失うか。その三メートルなら、今日から書ける。
コトハ
遠い国の歴史は、必要になった日に足せます。まずは主人公の手が触れる舞台を残しましょう。
アキト
場所、ルール、代償が一つずつある。世界を広げるのは、その場面を書いてからだ。
ルールそのものをさらに作りたい場合は 物語のルール設定の作り方、作った設定に矛盾がないか確認したい場合は 世界観の矛盾をチェックする方法 へ進みましょう。
ノートには「この場所では何ができ、その代償で主人公は何に迷うか」を一文で残します。次の行動は、その代償が見える場面を1つだけ書き出すことです。
おつかれさまでした
世界観基本表を残せた!
世界観基本表には、「使う世界観を選ぶ」ための判断が残っています。次に開くときは、世界観設定を1つ選び、主人公の選択にどう効くかを書くところから続けてください。
チェックすると、マイノートに読んだ記録が残ります。
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