プロット・構成を作る

読者を引き込む冒頭設計

物語の始まりの作り方

物語の冒頭を作る流れ。動作・場所・声から先に示すものを選び、同じ三文の順序を変えて二案を比べる。選ぶ理由と未定を残し、問いや説明を必須の型にしない。

この記事の結論

物語の書き出しに迷ったら、読者に最初に見せたいものを選びます。人物の動きから始めるか、場所の様子から始めるか。同じ三文の順番を変えた二つの冒頭で、違いを比べます。説明から始めても、すぐに謎を出さなくても構いません。

ミラ ソウマ アキト コトハ
難易度
初心者
読了時間
14分
公開日
最終更新日

この記事でわかること

  • 動作・場所・声から、先に置くものを選べる
  • 同じ三文の二案で、情報の順序を比べられる
  • 選んだ理由と未定を残し、冒頭へ戻れる
#冒頭#始まり#読者導入

ソウマ

世界の説明から始めたけど、人物の動きも先に見せてみたいな。

ミラ

別案を作って比べてみましょう。同じ内容で順番を変える方法もあります。

アキト

何を先に渡したいかを考えよう。問いがあるかだけで決めなくていい。

01

Structure

物語の冒頭は、動作・場所・声から入口を選ぶ

冒頭の入口には人物の動作、場所の光や音、語りの声や説明がある。三文で比較する練習は、表示幅で変わる画面上の三行とは区別する。

物語の始まりを考えるときは、読者に最初に見せたいものを一つ選びます。人物の動き、場所の光や音、語り手の言葉づかい、世界の仕組みなどから始められます。ここでいう「入口」は、書き出しで先に見せるもののことです。

入口先に示すもの使ってみる方向
人物の動作誰が何をしているか動作を追いたい場面
場所や物の様子どこに何があるか、どんな光や音か空間や雰囲気を先に置きたい場面
語りの声や説明誰がどう語るか、どんな前提があるか声や前提から読み始めてほしい場面

説明から書き出したものを読んで、人物の動きも試したくなったら、別案を作って比べられます。説明を消すことや、すぐ事件を起こすことが、どの作品にも必要なわけではありません。

ここでは同じ三文を使い、人物の動作から始めるAと、机の灯りから始めるBを作ります。三文にそろえるのは、順番による違いを比べやすくするためです。文は画面の幅や文字の大きさによって折り返すので、画面上の三行とは違います。

ソウマ

説明を全部削るより、先に人物を出した案も読んでみたいな。

アキト

何を先に見せるかを比べよう。今回は情報を増やさず、文の順番を変えてみる。

02

Causality

同じ三文の冒頭を、動作が先のAと灯りが先のBで比べる

冒頭Aは真帆の入室から、Bは机の灯りから始める。同じ三文の最初の二文だけを入れ替え、Bを次稿に選ぶ。灯りの原因やほかの職員の在室は未定。

自作の教材**『朝の閲覧室・冒頭比較v1』**を使います。人物は真帆、26歳。開室準備を担当する職員です。この役割は作者が先に置いた条件で、以下の三文だけではまだ説明していません。

A:真帆の動作から始める

朝六時、真帆は閲覧室の扉を押して中へ入った。

奥の机で、灯りが一つだけついていた。

開室は七時で、ほかの職員が来るかはまだ聞いていなかった。

B:机の灯りから始める

奥の机で、灯りが一つだけついていた。

朝六時、真帆は閲覧室の扉を押して中へ入った。

開室は七時で、ほかの職員が来るかはまだ聞いていなかった。

Bは、Aの最初の二文を入れ替えただけです。真帆が朝六時に入ること、灯りが一つついていること、開室は七時であることは同じです。ほかの職員の予定をまだ聞いていない、という情報も両方にあります。Bにだけ静けさや匂いを足したわけではありません。

案文の順序作者が先に置くものまだ分からないこと
A:動作が先真帆が入る→机の灯り→開室時刻と未確認の予定人物の入室を最初に置く灯りの原因、ほかの職員がいるか
B:灯りが先机の灯り→真帆が入る→開室時刻と未確認の予定場所の一部分を最初に置くAと同じ。原因や他者の在室は未確認

Aでは、真帆が入る動作を最初に見せます。Bでは、真帆が出てくる前に机の灯りを見せます。今回は灯りのある場所から読んでほしいので、次の原稿にはBを使います。これは作者が選んだ理由で、実際の読者がどう感じたかは、まだ分かりません。

灯りから想像できることと、書かれたことを分ける

作者が想定した問いは「なぜ灯りがついているのか」です。ただし、灯りだけで「誰かが先に入室した」「事件が起きた」とは決まりません。消し忘れや自動点灯なども本文では設定していません。

開室時刻は三文目に書きました。真帆が準備担当だという説明をすぐ足すかは、次に見直します。必要な説明は一つに限らず、読ませたい場面に合わせて選べます。

ソウマ

同じことを書いても、Bでは先に灯りを見るんだね。誰がつけたかは、まだ分からない。

アキト

そうだ。Bを選ぶ理由と、まだ足していない説明を残そう。読者が必ず謎を感じる、とまでは言わない。

03

AI Partner

AIや読み手と冒頭二案を比べ、文面の根拠を確かめる

AIと冒頭二案で先に示す情報と後で示す情報を比較する。順序が違うことと、情報がないことを区別し、読み方の候補を実際の読者反応の測定結果にしない。原因や事件を補わない。

AIや読んでもらう相手には、比べる二案と、先に置きたいものを渡します。「面白くなったか」だけでなく、「最初に何が示され、次に何が分かったか」を確かめる方法があります。

AIが挙げた疑問や読み方は、「そう読むかもしれない」という案です。実際に人へ読んでもらって得た感想とは分けて残します。

もったいない相談例

この3行を、必ず読者を引き込む完璧な冒頭に直してください。

よい相談例

物語の冒頭二案を、本文にある範囲で比べてください。 材料の名前・版:_____ 作者が決めた人物や場面の条件:_____ 冒頭A:_____ 冒頭B:_____ 先に渡したいもの・作者が想定する問い:_____ まだ決めていないこと:_____ 今回比べたい範囲:_____ 各案で最初に示されるものと、後から分かることを短く整理してください。 二案の情報と順序を比べ、本文のどの言葉を根拠にしたか示してください。 文面から考えられる読み方は候補として述べ、実際の読者反応を測った結果にしないでください。 灯りがついていることだけで、誰かの入室や目的、事件を確定しないでください。 疑問が生まれない場合も欠陥とは決めず、場所や声を入口にする案として検討してください。 新しい文や設定は求められた場合だけ提案し、元の本文と分けてください。 三文は比較の練習範囲であり、必ず三文以内に謎を作る条件ではありません。

ミラ

二案で変えたのは、最初の二文の順序です。AIが『Bは真帆がまだ入っていない』と説明したら、三文全体へ戻って確かめます。

コトハ

Bにも入室した文がありますね。情報が後で出ることと、書かれていないことは分けて見られます。

04

Practice

冒頭チェックに、二案と選んだ理由・未定を残す

冒頭AとBを別々に保存し、今回は灯りが先のBを選ぶ理由を残す。次は真帆の動作と、準備担当という説明を置く場所を考える。問いがない場合や保留でも使える。

ワークでは、AとBの両方を残し、どちらを使いたいかと、その理由を書けます。この例なら、差は「Aは真帆の入室が先、Bは机の灯りが先」。選ぶ理由は「机の灯りから見せたいのでB」です。

まだ選べないときは、二案だけ保存しておけます。先に説明するか迷うことや、灯りの原因などの未定のことも、別の欄に残せます。

実践ワーク

冒頭二案と、選んだ理由・未定を保存する

Aの三文と別案Bを残し、最初に見せるものの違いを比べます。選ぶ理由や、まだ決めていないことも保存できます。まだ案を選べないときは、空欄で構いません。

入口

動作・場所・声から先に置くものを選ぶ。

二案

同じ三文の順序を比べる。

保存

選ぶ理由と未定、次の動作や説明を残す。

生成される実践メモ

入力すると、この記事のワーク結果がノートに貼れる形でここにまとまります。
材料の名前・版: ____ 冒頭で先に渡したいもの: ____ Aの1文目: ____ Aの2文目: ____ Aの3文目: ____ 理解に必要な説明・あとで試す説明: ____ 作者が想定する問い(なくても可): ____ 比べる別の入口: ____ 別の入口から始める冒頭B: ____ 二案で先に示されるものの差: ____ 残す案・選んだ理由(保留でも可): ____ まだ決めないこと: ____ 次に試すこと: ____

全部埋めなくて大丈夫。1行だけでも保存できます。

マイノートで見る

この記事の保存案:0件

未保存。この内容はこの端末のブラウザに保存されます。

入口を変えたいときに読む記事

三文の練習が合わなければ、もう少し長い段落で比べても構いません。案を選んだ後も、続きとのつながりを読んで、冒頭へ戻れます。

この例で残したもの

比べた二案
動作が先のAと、灯りが先のB。同じ三文の順序を変更
今回の判断
灯りのある空間を先に置きたいのでBを使う。読者反応は未確認
次の作業
真帆の次の動作と、準備担当という説明をどこに置くか考える

ソウマ

動作案と灯り案を、実際の三文で比べられた。次は真帆が何をするかだね。

アキト

灯りの原因は未定のまま残していい。説明を足すなら、別の版で試そう。

コトハ

入口を選ぶ理由が変わったら、Aへ戻ることもできます。二案を残しておきましょう。

おつかれさまでした

二つの入口と、選ぶ理由を残そう

同じ三文で、動作が先のAと灯りが先のBを比べました。自分の作品でも入口を選ぶ理由と未定を残し、続きに合わせて見直せます。

チェックすると、マイノートに読んだ記録が残ります。

小さな物語

この記事とつながる小さな物語

物語の種を捨てずに残すことを、コトハたちの短い場面として読めます。 記事の理解に必須ではありません。少し余韻を見たいときだけ開いてください。

次に読むなら

作中作 / 雨の日の郵便屋

届かなかった一通

冒頭と結末をつなぐ / 条件反復と局所変化未読・約11分この物語を読む

『雨の日だけ配達しない』という一文から、読者の疑問を作っています。

短編・作中作を見る

要約画像

100%

+で拡大し、マウスや指でドラッグして移動。指2本でも拡大できます。