ホーム › ソウマ
この世界のルールをちゃんと伝えたいんだ。でも説明を書き始めると、場面が止まっちゃう。
アキト
今の出来事を読むために、何が必要かを見てみよう。読者が既に知っていることも確認したい。
コトハ
はい。直接説明したほうが伝わる情報と、反応で見せられることを分けてみましょう。
Scene
物語の説明は、今の場面に必要な情報から考える
物語に説明を入れるときは、今の出来事を読むために、読者が何を知る必要があるかを考えます。言葉で伝えるのか、人物の動作で気づかせるのか、後で知らせるのかを選びます。必要な説明は、地の文や会話の一文として、そのまま残しても構いません。
たとえば、人物が外へ出るのを止めるなら、読者は「どうして止めるの?」と考えます。その理由をどこまで伝えるか、短い例で比べてみます。語り手の話し方を楽しませたり、長い時間をまとめたりするための説明もあり、説明のすべてを動作へ変える必要はありません。
架空の例:雨の条件を知らない旅人を、店主が止める
次の条件で、店の戸口の場面を考えます。
- この街では、雨粒が肌に触れると記憶を一つ失う。
- 旅人はこの条件を知らず、駅へ行こうとしている。
- 店主は条件を知っている。読者には、まだ説明していない。
- 今回は、旅人が外へ出る手を止めるまでを書く。
決めているのは、雨粒が肌に触れたときに何が起きるかです。「雨の日は外出禁止」という法律は作っていません。雨に触れず外出する方法や、どの記憶を失うかは、まだ決めていない設定です。
店主が旅人を止めるだけなら、「何か理由がありそうだ」とは読めます。でも、雨に触れると記憶を失うことまでは分かりません。雨を避ける理由をこの場面で伝えたいなら、その決まりを一文で説明できます。
Show, Not Tell
説明の入れ方を4手順で考え、短い本文で比べる
情報の伝え方は、次の三つで考えられます。
- 明示する:言葉ではっきり伝える。「雨粒が肌に触れると、記憶を一つ失う」。
- 手がかりを置く:気づくきっかけを見せる。店主が旅人の袖をつかむ。ただし、この動作だけでは雨の決まりまでは伝わらない。
- 保留する:今は知らせず、必要な場面まで待つ。店主が過去に何を経験したかは、ここでは出さない。
三つを必ずそろえる必要はありません。自分の場面ではどれを使うか、次の4手順で考えます。
- 今の場面で伝えたいことを決める:作例では、旅人がなぜ外へ伸ばした手を引くのか。
- 読者と人物が、すでに知っていることを確認する:作例では旅人も読者も雨の条件を知らず、店主は知っています。
- 伝え方を選ぶ:雨の決まりは会話ではっきり説明し、店主の反応を添える。過去の体験は今回は出さない、と分けられます。
- 短い本文にして読み直す:書いた文だけで何が分かるか、説明がないと読みがどう変わるかを比べます。
作例:条件の説明と、現在の反応を合わせる
雨粒が戸口の石畳を濡らした。旅人が外へ手を伸ばすと、店主がその袖をつかんだ。「雨粒が肌に触れると、記憶を一つ失うんだ」と店主は言った。旅人は手を引っ込め、駅の方を見た。
| 本文・情報 | この場面での役割 | まだ分からないこと |
|---|---|---|
| 店主が旅人の袖をつかむ | 旅人を止めたいという反応を見せる | この動作だけでは、記憶を失う条件は分からない |
| 雨粒が肌に触れると記憶を一つ失う、と伝える | 手を引く理由を、言葉ではっきり伝える | どの記憶を失うかや、街の歴史は説明していない |
| 旅人が手を引っ込め、駅の方を見る | 説明を聞いた後の現在の行動を描く | 次に駅へ向かう方法までは決まらない |
店主の説明を外すと、旅人が何を恐れたかは分からなくなります。「なぜ止めたのだろう?」と考えてほしい場面なら、そのまま残す案もあります。今回は雨の決まりを伝えたいので、この説明を残します。
「老人が、前の雨で息子の顔を忘れたと話す」は、後の場面に使える新しい案です。上の本文にある出来事ではありません。使うなら、旅人が記憶の重さを知る場面など、必要になる場所を考えます。
先に説明するだけでも使える
「この街では雨粒が肌に触れると記憶を一つ失う」と地の文で先に伝え、次に旅人の行動を書く方法もあります。毎回、違和感や謎を先に置く必要はありません。視点人物が知っている話を会話にするため、無理に知らないふりをさせる必要もありません。
文の調子や会話の間を整えたいときは、地の文の書き方で、場所・動作・知覚・内面の役割を見直せます。
ソウマ
袖をつかむだけでは、雨で記憶を失うとは伝わらない。この一文は残していいんだな。
アキト
何を伝える場面かで決めよう。手がかりも直接の説明も、必要な役割があれば使える。
AI Partner
AIには、本文から分かることと未開示の情報を比べてもらう
説明の位置をAIや仲間に相談するなら、元の本文と、読者・人物が知っていることを渡します。今回は、完成文を増やす前に「この本文から何が分かるか」を比べる相談です。
もったいない相談例
この設定を、全部手がかりに変えてください。説明文は残さないでください。よい相談例
伝えたい情報と、決まっている条件:__________
現在の場面と本文:__________
ここまでに読者へ伝えたこと:__________
視点人物や登場人物が知っていること:__________
今回は明かしたいこと・保留したいこと:__________
本文から分かることと、まだ分からないことを分けてください。
直接説明を残す場合、反応を手がかりにする場合、後で知らせる場合のうち、この場面に合う候補と理由を示してください。
三つすべてを使う必要はなく、今の本文で伝わるなら、その旨も残してください。
新しい条件・過去・人物を、既存設定として足さないでください。
追加案を出す場合は、元の本文とは分けてください。AIの返答は、元の本文と読み比べます。「読者は雨の危険を知っている」と言われたら、どの文で伝えたのかを確認します。元の文にない設定をAIが足していたら、採用するかどうかは作者が決めます。
謎を残すために後で説明する案も、先に説明して行動の理由を分かりやすくする案も比べられます。初めて読む人に「この場面で何が分かった?」と聞くと、作者だけが知っている設定に気づけることがあります。
Practice
説明整理表から、残す一文と次の確認を決める
説明整理表には、伝えたい条件、読者が知っていること、本文へ置く説明や反応を残します。手がかりや後の開示を使わない場合は、該当する欄を空けたままでも使えます。
実践ワーク
説明整理表を1枚にまとめる
今伝える情報と、手がかり・後の開示の役割を考えます。直接説明を残す案や、保留して次に確認することも記録できます。
表を、今の本文の判断につなげる
作例なら、雨粒が肌に触れる条件を店主の一文で伝え、袖をつかむ反応と旅人の行動を添える案を残せます。老人の過去を使うかは未定のままでも、戸口の場面は書けます。
次は、説明を残した本文と外した本文を読み比べます。旅人が手を引く理由を伝えるなら、どちらが合うでしょうか。短くすることだけが、この表の目的ではありません。まだ本文を書かないなら、必要な設定と、読者へすでに伝えたことのメモだけでも残せます。
今日できたもの
- この記事で作ったもの
- 今伝える情報と、本文での渡し方を考えた説明整理表
- 次に育てる場所
- 店主の説明を聞き、旅人が戸口で手を引く場面
- 次の行動
- 説明を残す案と外す案を比べるか、未定の前提を確かめる
ソウマ
雨の条件を一文で伝えれば、手を引っ込める意味を読める。老人の話まで今すぐ足さなくていいんだな。
コトハ
はい。この戸口の場面で必要なことと、あとで考えることが分かれました。
ミラ
表で選んだ案を本文へ戻したら、何が分かるようになったかを読み比べましょう。
おつかれさまでした
説明整理表を残せた!
今伝える条件と、反応で伝わる範囲を分けました。説明を残す本文も試し、まだ決めないことは次の確認として記録できます。
チェックすると、マイノートに読んだ記録が残ります。
小さな物語
この記事とつながる小さな物語
物語の種を捨てずに残すことを、コトハたちの短い場面として読めます。 記事の理解に必須ではありません。少し余韻を見たいときだけ開いてください。

店主の過去をすべて語らず、売れない記憶の棚から見せています。
学びの地図
物語を作る
記事をさがす
物語をよむ
マイノート