シーンにする

コマにしやすい場面整理

漫画原作・ネーム前のプロットの作り方

漫画原作のネーム前整理では、読者が知る前提と場面の開始、絵や言葉で見せる情報、制作向け補足、終わりと次に試すことを分ける。

この記事の結論

漫画原作をネームへ進める前に、場面の始まり、読者の前提、絵と言葉で見せる候補、終わりを分けます。謝罪の手紙を持つ少年の場面で、制作向け補足との違いも確かめましょう。

ミラ ソウマ アキト コトハ
難易度
初心者
読了時間
14分
公開日
最終更新日

この記事でわかること

  • 場面の開始状態と、コマ間で変わるものを分けられる
  • 絵・セリフ・補足が担う情報を整理できる
  • 漫画向けシーン表に、ネームで試す未確定事項を残せる
#漫画原作#シーン#ビジュアル

ソウマ

漫画原作のメモに気持ちを書いたけど、読者にどこで伝わるのか、まだ決めていないんだ。

ミラ

読者が見る絵、読む言葉、制作側へ渡す補足に分けてみましょう。

コトハ

前の場面で何を見せたかも手がかりです。心情を全部絵に替えなくても大丈夫ですよ。

01

Scene

漫画原作のプロットをネームへ渡す前に、前提と場面を分ける

謝罪の手紙を前の場面で見せたかを確認し、廊下にいる人物と封筒を開始状態として整理する。今回は声をかけ始めるところまでで、返事や和解は未描写。

漫画原作をネームへ進める前に、場面の開始状態、読者が知っていること、絵や言葉で見せる候補、終わりの状態を分けておきます。長い心情説明をすべて削るのではなく、どの情報をどこで読者へ届けるかを考える作業です。

ネームは、ラフな絵を使ってコマ割りやセリフ、画面の構成を検討する段階です。Tooのネーム解説でも、この段階で構成を見直してから下絵へ進む流れが示されています。本稿のシーン表は、その前に素材と意図を整理するために使います。

作例の前提:謝罪の手紙を持つ少年

以下は本記事の架空作例です。説明役のソウマたちとは別の人物として、少年と友人の場面を考えます。

  • 前の場面で、少年が友人の発表を笑ってしまったことと、謝罪の手紙を書いたことを読者に見せている。
  • 今回の場所は放課後の廊下。少年は手紙入りの封筒を持ち、少し先を友人が歩いている。
  • 少年は謝りたい。ただし、この場面で描くのは声をかけ始めるところまで。謝罪の言葉や相手の返事は、このあとに残す。

この前提があれば、封筒を握る手を「声をかけるためらい」と結びつけて読む手がかりがあります。手に力が入る絵だけで、謝りたい理由や封筒の中身まで確定するわけではありません。

02

Visual Story

ネーム前の四つのコマ候補で、絵・言葉・補足を比べる

廊下で封筒を持つ少年が、友人へ声をかけ始める場面をコマ候補で整理する。人物と封筒の連続性、読む言葉、制作補足を分け、未描写の返事や和解を混ぜない。

場面を整理するときは、次の順で必要な情報を拾います。コマ数やページの区切りは、見せたい情報を並べてからネームで比べましょう。

  1. 目的と前提を書く。 人物が望むことと、今回どこまで見せるかを分け、読者の既知情報も添える。
  2. 開始状態を書く。 場所、人物の位置、持っている物を一文にする。
  3. 見せる候補を並べる。 距離や手の動きなど、何に注目して読むかを整理する。同じ姿勢を残して間を取る候補も使える。
  4. 情報の担当を分ける。 絵、セリフ・モノローグ・語り、制作向けの補足を混ぜない。
  5. 終わりと未定事項を残す。 何が起き、何はまだ起きていないか、ネームで何を比べたいかを書く。

廊下の場面を、四つのコマ候補にする

四つは今回の比較用です。完成した四コマ漫画や、確定したページ構成を示すものではありません。

候補見える状態前との違い・注目点読者が読む言葉
1廊下で封筒を両手に持つ少年。少し先を友人が歩く。二人の位置と、少年が持つ封筒を示す。この案ではなし
2少年は立ち止まり、友人の背中が遠くなる。二人の距離が開く。封筒は少年の手にある。なし
3封筒の角が少し折れるほど、少年の指に力が入る。同じ封筒の手元へ注目する。破れたり手渡されたりはしない。なし
4少年が友人の方を向き、小さく声を出す。黙っていた状態から、呼びかけを始める。少年のセリフ「待って」

この案の終わりは「少年が声をかけた」です。友人が立ち止まった、封筒を受け取った、許した、という結果はまだ描いていません。次の場面では、その応答をどうするか考えられます。

絵・読者の言葉・制作向け補足を分ける

担当この場面で使う候補確認すること
絵離れる背中、封筒を握る手、声をかける少年人物の位置と小物が、前後でつながるか
読者が読む言葉4のセリフ「待って」。前の場面を見せない別案では、1に「昨日のこと、謝らないと」というモノローグを足す候補。前提が違う二案を混ぜず、読者に必要な情報を選ぶ
制作向け補足少年は声をかけるのをためらっている。封筒は同じ物で、角が少し折れる程度。この補足自体は読者へ表示しない。必要な情報は絵か言葉で示す

前の場面で手紙を書くところを見せた案と、この場面だけで読ませる案では、必要な言葉が変わります。モノローグを使うかどうかは、その条件をそろえて比べましょう。

ソウマ

手を握る絵だけに、謝りたい理由まで全部任せなくていいんだ。

アキト

ああ。前に何を読ませたかを確認する。補足にしかない情報なら、読者への見せ方を選び直そう。

ネームでは、2と3を一つにする案や、同じ姿勢を残して沈黙を見せる案を比べられます。CLIP STUDIO公式の8ページ作例では、プロットからページへの配分を考え、そのうえで見せたい部分に合わせてコマを組み立てています。本稿の四候補も、媒体・ページ条件・作画担当との分担に合わせて組み直します。

一枚の構図を決めるなら画像用シーンメモ、相手の返事まで書くなら会話文の書き方で続きを考えられます。

03

AI Partner

AIには、漫画原作の記述と読者へ見せる情報を照合してもらう

AIへ場面と読者の前提を渡し、絵・言葉・補足に分けた根拠を元の記述に戻して確かめる。相手の返事など新しく追加された反応を区別する。

AIを使う場合は、元の場面、読者が知っている前提、守りたい情報を渡します。今回は絵・読者が読む言葉・制作向け補足を整理する補助として使い、返ってきた案は元の記述と照合します。

同じ意味が絵とセリフにあっても、すぐに片方を削る必要はありません。強めたい意味があるのか、読者の前提を補っているのかを見て判断しましょう。

もったいない相談例

この場面を四コマに固定し、心情説明を全部消して完成させてください。

よい相談例

元の場面本文・コマ候補:__________ 読者がここまでに知っていること:__________ 人物の目的と、今回見せる範囲:__________ 媒体・ページ条件・分担(未定でも可):__________ 守りたい情報と、今迷っていること:__________ 渡した範囲を、開始状態・見せる候補・読者が読む言葉・制作向け補足・終わりの状態へ整理してください。各項目の根拠になった元の記述を示し、記述がなければ未確認としてください。 同じ意味を複数の手段で示している箇所は、削除を決めず、重ねる意図を確認する質問にしてください。 新しい表情、出来事、相手の反応を勝手に足さず、未描写の謝罪や和解を完了と扱わないでください。コマ数やレイアウトは固定せず、候補の保持・修正・保留を分けてください。

AIが補った反応を、元の場面へ混ぜない

たとえばAIが「友人は振り返り、手紙を受け取る」と整理した場合、四候補のどこにそれがあるかを確かめます。今回あるのは少年の「待って」までです。相手の反応を続けたいなら、次の場面の追加案として別に残します。

04

Practice

漫画向けシーン表に、終わりの状態とネームで試すことを残す

漫画向けシーン表に媒体条件、読者へ示す情報と制作補足、描いた終わりと未描写、次に比べるコマ数や間を保存する。3候補や空欄・保留も扱う。

漫画向けシーン表には、場面の目的と読者の前提、開始状態、見せる候補、言葉の置き場所を残します。制作向け補足と、実際に描いた終わりの状態も分けましょう。

今回なら「謝りたい」は人物の目的、「待ってと声をかけた」はこの場面の終わりです。「相手が許した」まで進んだことにはしません。

実践ワーク

ネームへ渡す場面と、まだ試すことを残す

媒体条件、目的と読者の前提、四つの候補、読む言葉、制作向け補足、終わりと次の比較を整理します。候補は四つ埋め切らなくても保存できます。

前提

人物の目的と、読者が既に知ることを分けて書く。

担当

絵・読者の言葉・制作補足を分け、必要な情報を落とさない。

次の比較

描いた終わりと未描写を分け、媒体条件に合わせてコマ数や間を試す。

生成される実践メモ

入力すると、この記事のワーク結果がノートに貼れる形でここにまとまります。
媒体・ページ条件・制作の分担(未定でも可): ____ 人物の目的・今回見せる範囲・読者の前提: ____ 候補1:開始時に見せる状態: ____ 候補2:次に見せること(任意): ____ 候補3:次に見せること(任意): ____ 候補4:次に見せること(任意): ____ 読者が読む言葉と置く位置: ____ 絵で伝えたいことと、その読みの根拠: ____ 制作向け補足(読者には表示しない): ____ 場面の終わり・まだ描いていないこと: ____ ネームで比べること・今の判断: ____

全部埋めなくて大丈夫。1行だけでも保存できます。

マイノートで見る

この記事の保存案:0件

未保存。この内容はこの端末のブラウザに保存されます。

コマ数を決める前に、比較する条件をそろえる

まず、前の場面を読者に見せるか、今回の場面だけで読ませるかを決めます。そのうえで、四候補のまま試す案と、2・3をまとめて三候補にする案を比べられます。三候補なら、使わない欄は空欄で残せます。

メモには「前の場面で謝罪の手紙を見せる案。2・3をまとめたとき、距離と手元が追えるか。『待って』の前の間をネームで比べる」と書けます。コマをまとめること自体を正解にせず、今の案を残す判断や、媒体条件が決まるまで保留する判断も記録しましょう。

制作補足に書いた意図が読者へ届くかは、実際に読む形で確かめます。一つの場面の本文から作りたい場合は、シーンの作り方へ戻れます。

今日できたもの

この記事で作ったもの
読者へ見せる情報と制作補足を分けた、漫画向けシーン表
次に育てる場所
人物と小物のつながり、言葉の位置、終わりに残る状態
次の行動
媒体条件をそろえ、コマを分ける案とまとめる案をネームで比べる

ソウマ

声をかけたところまで、と書けば、その先の返事を勝手に決めずに渡せるね。

コトハ

絵や言葉で見せるものと、制作側で相談することも分けられました。次は実際の並びで読んでみましょう。

おつかれさまでした

漫画向けシーン表を残せた!

読者へ見せる絵と言葉、制作向け補足、場面の終わりを分けて残せます。次は媒体条件と読者の前提をそろえ、ネームでコマ数や間を比べましょう。

チェックすると、マイノートに読んだ記録が残ります。

要約画像

100%

+で拡大し、マウスや指でドラッグして移動。指2本でも拡大できます。