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落とし物を返すか、中を見るか。二つは書けたけど、どっちも同じ会話に戻っちゃうんだ。
ミラ
選ぶ前に何が分かっているか、選んだ後に何が起きるかを、台本で見てみましょう。
アキト
先に使う差なら参照する場所まで書く。その場の反応だけにするなら、それも決めておけ。
Scene
ゲームシナリオの選択肢は、選ぶ前の情報から考える
ゲームの明示的な選択肢は、選ぶ前の情報、選んだ直後の反応、その後に持ち越す差を並べると設計しやすくなります。まずは一つの場面を、AとBの両方から読んでみましょう。
この記事が扱うのは、会話や行動をボタンなどで選ぶ一場面です。探索する順序や操作そのものが物語を作るゲームもあり、すべての場面を二択にする必要はありません。
選択前に、何を判断できるか
次の架空の調査ゲームを使います。選択肢を表示する前に、本文でこの条件を伝えます。
- 主人公は旧倉庫から聞こえる音の出所を調べている。倉庫の正面までは行けるが、入れる場所は知らない。
- 目の前で茶色のコートの人が布袋を落とした。まだ声が届く距離にいるため、開けなくても持ち主に返せる。
- 袋の外側には、旧倉庫の看板と同じ印がある。中身は見えていない。
- 選択肢は「開けずに声をかけて返す」と「その場で中を見てから返す」。相手との関係を大事にするか、先に手がかりを確かめるかを選ぶ。
印が同じでも、相手が案内してくれるか、中に役立つ物があるかはまだ分かりません。選択の結果をすべて先に教える必要はありませんが、何をしようとしているか分からないまま選ばせないことは確認できます。
後に残す差は、情報、相手に頼めること、所持品などから選べます。一方、その場の言い方や役割演技を楽しむための選択なら、反応だけを変えて次へ進んでも構いません。その場合は「この差は持ち越さない」と設計メモに書いておきます。
Interactive
落とし物の二分岐を、台本と合流後の状態で比べる
次の順序で、一場面を短い台本と状態のメモにします。
- 目的と選択前の情報を書く:主人公は何をしたくて、プレイヤーはどこまで知っているか。
- 選択肢と直後の反応を書く:各ボタンの文言に続けて、台詞や動作を短く書く。
- 保持する差を決める:後で使う情報や関係を選ぶ。持ち越さない選択なら、その意図を書く。
- 初期状態と合流先を並べる:選ぶ前の値、Aの後、Bの後を区別し、どの場面が読むか決める。
- 一つの経路ずつ読む:毎回初期状態に戻し、Aから次の場面、Bから次の場面へ通す。
A:開けずに声をかけて返す
主人公:「袋を落としましたよ」
持ち主:「ありがとう。気づきませんでした」
主人公:「旧倉庫へ入りたいんです。入口をご存じですか」
持ち主:「それなら、私が案内します」
この案では、持ち主に案内を頼めます。主人公はまだ入口への道を教わっていません。「返せば誰にでも信頼される」という決まりではなく、この人物の反応を作者がそう書いた作例です。
B:その場で中を見てから返す
袋の口を開くと、「東口へは裏通りから」と書かれたメモが見えた。
持ち主:「何を見ていたんですか。返してください」
主人公は袋を返した。「旧倉庫へ入りたいんですが……」
持ち主:「案内はできません」
こちらでは、袋を開けるところを持ち主が見ています。曖昧な「触った跡」で疑いが生じたことにはしません。主人公は東口への道を知りますが、この場面では案内を断られます。
二つの状態と、合流後の台本
この例では、次の二つだけを保持します。日本語の状態名は設計用のメモで、特定のゲームエンジンのコードではありません。
| 保持する状態 | 選択前 | Aの後 | Bの後 | 合流後の参照 |
|---|---|---|---|---|
| 案内を頼める | いいえ | はい | いいえ | はいなら持ち主が入口へ案内する |
| 東口への道を知っている | いいえ | いいえ | はい | 案内なし・道を知る場合は、メモを頼りに進む |
どちらも次の「旧倉庫の正面」に合流します。共通の本文は「正面の扉には鍵がかかっていた」。続きは状態に合わせて変えます。
- Aの続き:「入口はこっちです」と持ち主が裏通りを指し、主人公を東口へ案内する。
- Bの続き:主人公は袋の中のメモを思い出し、一人で裏通りから東口へ向かう。
Aでは案内されることで道を知るため、その先でも使うなら「東口への道を知っている」を「はい」に更新します。表の「Aの後」は、あくまで袋を返した直後の値です。
ソウマ
倉庫の正面に戻っても、誰かに案内してもらうか、自分で進むかが変わるんだな。
アキト
Aを読んだあと、その状態を残したままBを確かめるな。選ぶ前に戻して、別々に通せ。
この二択からは、二つとも「はい」や二つとも「いいえ」にはなりません。別の経路を足すなら、その組み合わせで何が起きるかも決めます。合流せず別の場所や結末へ進む設計では、行き先や制作量を別に整理してください。場面の目的そのものが曖昧なら、先にシーンの作り方で確かめます。
AI Partner
AIには、選択前の条件と分岐後の本文を照合してもらう
AIに相談するときも、まず選択前の条件と、今ある台本を渡します。「面白い分岐にして」だけでは、まだ決めていない人物の反応や所持品まで追加されるかもしれません。
この例なら、袋の印は選択前から見えますが、中のメモはBでだけ読めます。AIの表に「Aでもメモを読んだ」とあれば、元の台本と一致していません。合流後の本文まで渡して、どの情報や状態がどこで使われるかを照合しましょう。
もったいない相談例
このゲームシーンを、分岐込みで完成させてください。展開も台詞も全部作ってください。よい相談例
シーンの目的と、選ぶ前に分かる条件:__________
選択肢ごとの現在の台本:__________
初期状態と、選んだ後に保持する差:__________
合流後の本文、または別の行き先:__________
持ち越さない差・未決定のこと:__________
提示した範囲だけを使い、各選択の「直後の反応/更新する状態/後で参照する箇所」を表にしてください。根拠の台詞や動作も示してください。
新しい展開や状態は足さないでください。未提示で判断できない欄は「未確認」、作者がまだ決めていない欄は「未決定」、意図して保持しない差は「持ち越さない」と区別してください。比較表が整っても、ゲームが正しく動くと確認できたわけではありません。採用する台本を決めたら、制作環境に合わせて状態名や条件を実装し、各経路を実際に通して確かめます。ここでは、その前に本文の対応関係を整理します。
Practice
選択肢シーンメモを、初期状態から一経路ずつ確かめる
選択肢シーンメモには、選ぶ前の情報、AとBの短い台本、保持する差、次に使う場所を残します。二択で足りるならCは空欄で構いません。
実践ワーク
二つの経路を、選択肢シーンメモに残す
目的と前提、選択ごとの反応と保持状態、合流後または分岐先の本文を書きます。Cや持続する差は必要な場合だけ使います。
保存したメモを、AとBで一度ずつ読む
落とし物の例なら、最初は「案内を頼める」「東口への道を知っている」の両方を「いいえ」にします。Aだけを通すと、案内を頼める状態で倉庫の正面へ進みます。もう一度初期状態に戻してBだけを通すと、道を知っていて、案内は頼めない状態になります。
Aの続きでメモを思い出していたり、Bの続きで持ち主が案内していたりしたら、今回の台本とは合いません。状態の記録だけでなく、実際の台詞や動作を直します。
一時的な反応だけを変える別案なら、合流後を共通にして「持続する差なし」と残せます。まだ行き先を決めていない場合は保留とし、決まっているようには書きません。
今日できたもの
- この記事で作ったもの
- 前提・選択・反応・次の場面を並べた選択肢シーンメモ
- 次に育てる場所
- 各経路の台本と、必要な状態を実装する場所
- 次の行動
- 初期状態からAとBを別々に読み、本文と状態が一致するか確かめる
ソウマ
選択肢の文だけじゃなく、返事と次の場面も書いたら、足りない所が分かった。
コトハ
選ぶ前に読める情報もそろったので、どうして迷うのか追いやすくなりましたね。
アキト
持ち越さない差はそう書けばいい。残すと決めた差は、使う場面まで確かめろ。
おつかれさまでした
選択から次の場面まで、メモに残そう
選ぶ前の条件、二つの反応、必要な状態と次の本文を保存します。保留も残し、実装するときに各経路の動作を確かめましょう。
チェックすると、マイノートに読んだ記録が残ります。
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