プロット・構成を作る

開示前後の情報を設計する

どんでん返しの作り方

どんでん返しは開示する情報と前の本文を並べ、事実・認識・省略を分け、別の読み方と矛盾を確かめる。驚きの反応と本文の整合を区別する。

この記事の結論

どんでん返しを設計するときは、開示する情報と、開示前後で意味が変わる記述を分けます。驚きの大きさを決める式ではなく、読み返したときに根拠をたどれるか確かめます。

アキト ソウマ ミラ コトハ
難易度
初心者
読了時間
14分
公開日
最終更新日

この記事でわかること

  • 開示前後の本文を、同じ記述で読み比べる
  • 事実・認識・省略と、別の説明を分ける
  • 反転を置く・置かない・保留の判断を保存する
#どんでん返し#反転#伏線

ソウマ

最後に正体を明かしたけど、それまでの文とちゃんとつながってるかな。

アキト

開示の前に、同じ情報を別の意味で読めるように置いたか。

コトハ

読み返したとき、どの文が根拠になるかたどってみませんか。

01

Structure

どんでん返しは、開示前の記述の読み方を変える

どんでん返しでは開示後も前に書いた動作は変わらない。開示情報と一文の読み方を比べ、読者が驚くかは別に扱い、反転なしの案も残す。

どんでん返しは、新しい情報が明かされ、それまで読んだ人物・出来事・言葉の意味が変わる展開です。「何を明かすか」と「明かす前に何を書いたか」を一緒に確かめると、突然の説明だけで終わっていないか見直せます。

たとえば、一人称の「私」を人間だと思って読んでいたところ、犬の語りだったと分かる話を考えます。前半に書いた「戸口で待つ」「頭を撫でられる」という動作は変わりません。変わるのは、その動作をしていた相手の見え方です。

ただし、頭を撫でる描写で犬を予想する人もいます。どんでん返しの設計では、本文が矛盾しないかという確認と、読み手が驚くかという反応を分けましょう。 三つの手掛かりを置けば成功する、といった決まった数もありません。

この記事では、短い作例の開示前後を並べて点検します。謎のある作品すべてに反転が必要なわけではなく、最初から犬だと示す案や、情報の開示を保留する案も残せます。

02

Causality

どんでん返しの設計4手順|開示前後の本文を比べる

作例では戸口で待ち頭を撫でられる語り手を、首輪・リードと柴犬の姿で後から示す。前から犬を予想する読みもあり、本文の事実は変えない。

次の作例では、一人称の語り手を柴犬のコムギ、靴を履いている相手を24歳の飼い主・沙耶と設定します。犬が自分の正体を初めて知る話ではありません。読者へ、語り手の姿を遅れて示すための練習例です。犬の内面を一人称で書くことも、この作例で選んだ語り方です。

開示前の本文:玄関で待つ「私」

沙耶が玄関に来るまで、私は戸口で待っていた。

彼女が靴を履く間、私はいつものように隣へ寄って座った。沙耶は私の頭を一度だけ撫でた。

「駅まで一緒に行こうか」そう言われて、私は勢いよく立ち上がった。

開示場面の本文:首輪とリード、犬の姿を示す

沙耶は壁からリードを取り、私の首輪に留めた。

「行こう、コムギ」私は柴犬の巻き尾を揺らし、彼女の足元で扉が開くのを待った。

この五段落を「玄関のコムギ・比較用本文v1」と呼びます。駅への出発前までを書いた本文で、駅に着いたことや電車に乗ったことは書いていません。

どんでん返しを設計する4手順

  1. 開示する情報を仮置きする。 この例では「私は柴犬のコムギ」。物語の最初から作者が知っている設定と、読者へ示す時点を分けます。
  2. 開示前の文を選び、前後の読み方を並べる。 待つ・撫でられる・同行を誘われる、という三箇所を下の表で比べます。一箇所から始めても構いません。
  3. 事実・認識・省略を分ける。 「頭を撫でられた」は書いた動作。「長く待った気がする」なら語り手の感じ方です。犬の姿をまだ描いていないこととも区別します。
  4. 開示の文を戻して読む。 首輪とリード、犬の姿を示した後でも、前半の動作が成り立つか確認します。たとえば人間の手で鍵を回す文を足したなら、この設定と合うか再検討が必要です。
本文の位置・記述開示前に考えられる読み開示後の読み別の読み・確認点
前半・第一段落:戸口で待つ同居する人が、一緒に出かける相手を待つ。犬が、飼い主との外出を待つ。待つ動作だけでは、語り手の種別は決まらない。
前半・第二段落:隣へ寄り、頭を撫でられる親しい相手や子どもへの仕草とも読める。飼い主が犬の頭を撫でる。ここで犬を予想する読みも十分ありうる。
前半・第三段落:駅まで一緒に行こうと誘われる同じ駅へ向かう人間同士の同行。飼い主と犬が駅まで歩く外出。駅へ着いたことや、電車に乗ることは書いていない。

この表の左から二列目は、実際の読者に調査した結果ではなく、作者が考えた読みの候補です。前半から犬だと思っていた人には、大きな反転にならない可能性があります。それでも、前後の記述が両立するかは確かめられます。

情報の種類この作例での確認開示後に見ること
作中で書いた事実私は戸口で待つ。沙耶が頭を撫でる。開示後も、その動作は同じ。犬の姿と両立する。
人物・語り手の認識例:「今日は長く待った気がする」と語るなら、私の感じ方。語り手の主観と、時計で確かめた経過時間を分ける。この文は別の候補で、上の本文にはない。
まだ示していない情報前半では、私の種別・首輪・尾を描写していない。開示で姿を示す。『私は人間だ』と事実として書いてから覆す方法にはしない。

省略すればどんな正体でも成立するわけではありません。その視点や語り口で、その場で知っていることを伏せる書き方が自然かも読み直します。意図して嘘をつく語り手を使う場合は、嘘・思い込み・客観的な説明のどれなのかを作者のメモで分け、その不確かさが本文でどう示されるかを別に点検します。

ソウマ

僕は犬だと明かす瞬間ばかり見てた。前の『頭を撫でた』も、もう一度読めるんだね。

アキト

ああ。ただ、そこで犬だと気づく読み手もいる。自分が驚いたことと、全員の反応を同じにするなよ。

03

AI Partner

AIでどんでん返しを点検するときは、前後の本文を渡す

AIには版・範囲・文の位置が分かる開示前後の本文を渡す。別の説明も並べ、指摘を本文で確かめ、手掛かりや結果を勝手に追加しない。

AIや仲間に確認を頼むときは、正体だけでなく、開示前の本文と開示場面の本文を、位置が分かる形で渡します。 あらすじしかなければ「あらすじの候補」と明記し、まだ書いていない動作を、本文の根拠として扱わないようにします。

コムギの例なら、前半・第二段落の「頭を一度だけ撫でた」と、開示・第一段落の「首輪に留めた」を同時に見てもらいます。犬だと読めることを「読者が必ず人間だと思う」と言い換えていないかも確認できます。

もったいない相談例

もっと驚く正体と手掛かりを追加し、どんでん返しを完成させてください。

よい相談例

作品名・版・確認する範囲:_____ 開示する情報と、その作中での前提:_____ 開示前の本文と、各文の位置:_____ 開示場面の本文(なければ構想と明記):_____ 残したい内容・まだ決めていないこと:_____ 同じ記述の「開示前の読み方/開示後の読み方」を並べ、根拠にした文の位置を示してください。 作中で書いた事実、人物・語り手の認識、省略されている情報を分け、別の説明が残る箇所も挙げてください。 矛盾が疑われる場合は、前後のどの文を比べたかと確認質問を示してください。 新しい正体・手掛かり・本文にない結果を追加しないでください。 読者が必ず誤読する、驚く、納得するとは判定せず、予想可能性と本文の整合を分けてください。

返ってきた指摘は、挙げられた文を本文へ戻して読みます。「前半で扉を押した」と指摘されても、この作例にその動作はありません。本文にない記述を根拠にした指摘は採用せず、参照範囲を確認し直します。

04

Practice

反転設計表の記入ワーク|一文の前後の読み方を保存する

反転設計表に開示情報と本文位置、一文の前後の読み方と別の説明を書き、次に確かめる一文を選ぶ。任意欄は空欄でよく、反転なしや保留も保存できる。

反転設計表には、まず作品名・版・確認範囲と、反転を置くかどうかを書きます。置く案なら、開示する情報と既存の一文を選び、前後の読み方を並べましょう。根拠候補2・3は任意です。本文にない手掛かりを、欄を埋めるために増やす必要はありません。

コムギの例なら、前半・第二段落の「頭を一度だけ撫でた」を選びます。前は親しい人間同士とも読め、後は犬を撫でる動作として読める。ただし前から犬を予想できる。この三点を残せれば、次に確認する文を選べます。

実践ワーク

反転設計表を、一つの記述から作る

開示する情報、前後の読み方、別の説明を本文の位置と一緒に保存します。任意の根拠欄は空欄でも、反転なし・保留でも残せます。

判断

反転を置く・置かない・保留を選ぶ。人物の成長や選択は必須にしない。

根拠

既存本文から開示前後の読み、別の説明、矛盾候補を残す。

一文

次に確認する一文を一つ選び、驚きの予測はしない。

生成される実践メモ

入力すると、この記事のワーク結果がノートに貼れる形でここにまとまります。
作品名・版・確認範囲: ____ 反転を置く/置かない/保留と、その理由: ____ 開示する情報: ____ 既存の根拠候補1・本文位置: ____ 既存の根拠候補2・本文位置(任意): ____ 既存の根拠候補3・本文位置(任意): ____ 開示前/開示後の読み方: ____ 事実・人物の認識・語り手の省略: ____ 同じ根拠の別の説明: ____ 矛盾候補・確認結果: ____ 開示場面の本文・位置、または構想: ____ 開示後に変わる理解・人物・関係(必要なもの): ____ 次に確認・修正する一文: ____ 今日の終了条件: ____

全部埋めなくて大丈夫。1行だけでも保存できます。

マイノートで見る

この記事の保存案:0件

未保存。この内容はこの端末のブラウザに保存されます。

反転を置かない案・まだ決めない案も残す

「最初から犬の散歩として書く」と決めたら、判断と理由だけを先に保存できます。開示後に変わるものは、読み手の理解だけでも構いません。主人公の成長、新しい選択、関係の変化まで必ず起こす必要はありません。

  • 前後で矛盾して見える。 比べた二つの文の位置を残し、事実・認識・省略のどれに当たるか確かめる。
  • 根拠を出す時点に迷う。 伏線の張り方で、提示・保留・回収を分ける。
  • 謎全体の組み立てを考えたい。 ミステリー小説の書き方で、読み手に渡す情報の範囲を整理する。
  • 驚くか判断できない。 本文の整合とは別に保留し、初見の読み手から得た反応があれば、その範囲だけを記録する。

今日できたもの

この記事で作ったもの
一つの記述の、開示前後の読み方を記した反転設計表
次に育てる場所
別の説明が残る箇所と、開示の本文との対応
次の行動
選んだ一文と開示の一文を読み返す。反転なし・保留の判断も残す

ソウマ

『頭を撫でた』は、犬だと分かった後も同じ動作なんだ。途中で犬だと予想される可能性も残しておくよ。

アキト

それでいい。本文が両立するかと、驚きの大きさは分けておけ。

コトハ

次は前半の一文だけ読み返しましょう。反転を置かない案も、ここから選べます。

おつかれさまでした

反転設計表に、次に読む一文を残そう

開示する情報と、前後の読み方を本文の位置で対応させます。別の説明と未確認の点を残し、反転を置かない案も含めて次に読む一文を選びましょう。

チェックすると、マイノートに読んだ記録が残ります。

要約画像

100%

+で拡大し、マウスや指でドラッグして移動。指2本でも拡大できます。