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候補を二十個まで増やしたら、どれも良く見えてきた。名付けだけで一生終わるかもしれない。
コトハ
では、増やす時間はいったん止めて、声に出したとき誰の顔が浮かぶか確かめてみませんか。
アキト
一人だけで見るな。主要人物の名前を横に並べろ。見分けられるかが先だ。
Three Tests
キャラクターの名前を比べる3観点:読み・区別・設定との整合
名前や苗字に唯一の正解はありません。候補を比べるときは、次の3点を確認できます。
- 読み:どの読み方で伝えたいか。初見で迷いそうなら、ふりがなや自己紹介で読みを示せるか。
- 区別:主要人物と、最初の音、長さ、文字の形、実際の呼ばれ方が重なっていないか。
- 設定との整合:作品で決めた年代、地域、言語、家族関係などの条件に合うか。
これは通過しなければならない規則ではありません。似た名前で家族の結びつきを示す、読みを伏せて正体を隠す、途中で呼び名が変わる、といった意図があるなら、読み手に渡す手がかりも一緒に考えます。
意味や象徴から決める方法も使えます。たとえば、火に関わる人物に「焔」という字を選ぶなら、名前でその印象を先に伝えたいかを考えてみましょう。名前と性格を一致させる必要はなく、好きな響きから始めても構いません。
Name Palette
キャラクターの名前・苗字は、音や文字と呼ばれ方から考える
候補がまだないときは、音、文字、作品内の呼び方のどれかから始められます。すべての条件を先に決める必要はありません。
- 音から作る:好きな響きをいくつか書き、短く呼んだ形も試す。
- 文字から作る:使いたい漢字やかなを置き、作者が想定する読みを添える。
- 呼び方から作る:友人は名前、先生は苗字など、よく出る呼ばれ方を先に考える。
- 世界の設定から作る:架空世界なら、姓があるか、地域で音や表記が変わるかなどを、必要な範囲で決める。
実在の時代や言語に沿うことが大切な作品では、候補を作った後に、綴り、読み、年代や使われ方を資料で確かめます。資料で確認したことと、作者が自由に作った条件は分けて残しましょう。名前だけから性格や人物の背景を決める必要もありません。
苗字は、家族設定と実際の呼ばれ方に合わせて考える
同じ姓を使う設定の家族がすでに登場しているなら、その設定を出発点にできます。まだ決めていない場合は、気になる苗字を仮に置き、名前とつなげて読んでみましょう。フルネームに加え、作中で何度も使う苗字呼びも確認します。苗字を使わない世界なら、無理に足さなくても構いません。
たとえば、これから使う架空の作例には「河野蓮(かわの・れん)」と「森美琴(もり・みこと)」が登場します。新しい主人公に「森」を付けると、苗字で呼ぶ場面では美琴と重なります。二人の名前を添えて区別する方法もありますが、この作例では苗字呼びを分けたいので、主人公の姓を「朝倉(あさくら)」と仮に置きます。
これは、どの作品でも違う姓にすべきという意味ではありません。家族関係を示したいのか、呼び分けたいのかなど、今回の意図に合わせて選びます。
音の重なりは、読みを並べて確かめる
「春香(はるか)・遥斗(はると)・晴人(はると)」なら、文字は違っても最初の音が重なり、後ろの二人は同じ読みです。一方で、「春香(はるか)・蓮(れん)・美琴(みこと)」なら、呼び始めの音が分かれます。ここでの読み方は、作例のために作者が指定したものです。
フルネームが違っていても、全員が「ハル」と呼ばれる場面なら、その呼び方を点検します。苗字、名前、あだ名のうち、本文で使うものを並べると、どこを調整するか考えやすくなります。
Compare
名前候補の比較例:同じセリフと地の文で3案を試す
候補はいったん最大3つほどに絞り、同じセリフと地の文へ入れて比べます。これは作業量の目安です。一案から試してもよく、ほかの候補を消す必要はありません。
作例の条件と、比較する3案
舞台は現代の架空の学校です。主人公の姓は「朝倉」と仮置きし、友人の蓮と美琴は主人公を名前で呼ぶ設定にします。名前の候補は「直生・湊・伊織」。以下の読みは作者が指定したもので、実在名の頻度や一般的な読み方を示す例ではありません。
| フルネームと読み | 友人の呼び方 | 比較で確かめる点 |
|---|---|---|
| 朝倉直生(あさくら・なお) | なお | 読みを「なお」と伝える手がかりを用意する |
| 朝倉湊(あさくら・みなと) | みなと | 呼びかけたときの長さを、同じセリフで試す |
| 朝倉伊織(あさくら・いおり) | いおり | 続く地の文で、人物を追いやすいか試す |
どの案も、友人の「れん」「みこと」とは呼び名が異なります。表だけで読みやすさの優劣を決めず、実際に使ってみましょう。
直生を入れる版
「直生、その手紙は開けないで」
直生は返事をせず、濡れた封筒を机に戻した。
湊を入れる版
「湊、その手紙は開けないで」
湊は返事をせず、濡れた封筒を机に戻した。
伊織を入れる版
「伊織、その手紙は開けないで」
伊織は返事をせず、濡れた封筒を机に戻した。
名前以外をそろえて音読し、呼びかけの調子や、地の文で人物を追った感触をメモします。作者が「なお」の響きを気に入ったなら、直生を仮採用して、初登場で読みを示す方法を考えられます。「直生」の字だけで必ず「なお」と読まれる、と決めつける必要はありません。三案とも保留でも構いません。
同名の人物や作品が気になる場合は、フルネームや読みで検索し、検索語、日付、見た範囲を残します。検索で見つからなかったことと、重なりが存在しないことは分けて扱いましょう。
AIには、名前の条件と既存の呼び方を渡す
AIに候補を頼む場合も、どんな名前を比べたいかを先に伝えます。候補の読みや説明は、作者が採用前に確かめます。
よい相談例
作品の舞台・時代:__________
作者が決めた音・表記・苗字の条件:__________
主要人物の名前と、本文での呼び方:__________
この条件内で、比較用の候補を最大3案出してください。
各案に、読み方、既存の呼び方との重なり、不確かな点を添えてください。
資料で確認できた情報と創作案を分け、確認していない語源や使用例を事実として説明しないでください。
名前から人物の性格や背景を決めず、採用は作者に任せてください。
Selection Sheet
名前選定表に、採用候補か保留理由と次の確認を残す
名付ける人物を一人選び、比較する候補と読み方を残します。まだ本文がなければ、呼びかける短い一文を新しく書いて構いません。主要人物の呼び方も隣に置き、今回確かめたい点を選びます。
作例なら、候補は「朝倉直生・朝倉湊・朝倉伊織」、友人は「蓮・美琴」です。直生を仮採用するなら、好みの響きだったことと、初登場で読みを示す作業を残せます。資料をまだ見ていない場合は、確認済みと書かずに「未確認」と残しましょう。
決めきれなければ、保留の理由や次に試す呼び方を書けば今日の作業は終了です。
実践ワーク
名前候補を最大3案に絞って比べる
作品名と名付ける人物、名前・苗字の条件、候補と読み、実際の呼び方を記録します。本文で試した感触、採用候補か保留理由、次の確認を残します。
今日できたもの
- この記事で作ったもの
- 名前選定表
- 次に確かめる場所
- 名前呼びや苗字呼びが出てくる、次の短い場面
- 次の行動
- 採用候補を短いセリフと地の文に一度ずつ入れて音読する
ソウマ
今回は『なお』の響きが気に入った。直生を仮に使って、初登場で読みが伝わるか試してみる。
コトハ
湊や伊織の案も残しておきましょう。次は、友人が名前で呼ぶ場面と、先生が苗字で呼ぶ場面で確かめられますね。
おつかれさまでした
名前の候補と判断を残せた!
読み方、見分けやすさ、設定との整合を比べ、採用候補か保留理由を残しました。次は名前の隣に、物語で使う設定だけを置きます。
チェックすると、マイノートに読んだ記録が残ります。
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